ヤングケアラーだった私が見つけた、相談先と支援の手がかり 〜家族のケアをしていても「助けを求められない」あなたへ〜

はじめに

「親の世話は“家族だから当たり前”。

そう思い続けて、誰にも頼れなかった。

 

学校に行きながら、家では母の見守りやお世話をして、心がすり減っていく日々。

それでも、“私なんかが相談していいの?”と、声をあげる勇気が持てなかった。

 

この記事では、かつての私が母と過ごした日々や、相談して良かった場所、今悩んでいるあなたを支えてくれる全国の相談窓口や支援先をまとめています。

 

「誰にも頼れない」と感じているあなたに、少しでも届きますように。」

 

 

無言の食卓

音も会話もない、静まり返った食卓。

母の症状が強く出ているときは、幻覚や幻聴の引き金になるため、テレビなど音が出るものはつけないようにしていました。

普段は母がごはんを用意しますが、この日は私が作りました。

家族みんなで食べるけれど、終始無言。

母の様子を伺いながら、息をひそめるような食事時間。

そんな中で、私はいつも思っていました。

「自分が家族を持ったときは、笑顔と会話のある食卓にしたい」

それが叶うかどうかはわからないけれど、そう思うことでなんとか心のバランスを保っていたのかもしれません。

どこまでが病気のせい? 統合失調症とは

普段は穏やかで優しい母。仕事をしながら、家のこともきちんとやってくれていました。

でも、薬を飲み忘れたり、飲まなかったりすると、少しずつ様子が変わっていきます。

  • 些細なきっかけで激しく怒られ、夜通し怒鳴られた日
  • 情緒が不安定で、突然泣いたかと思えば、次の瞬間に笑い出す
  • 「思考を読み取られているから、喋らないで」と言われる

統合失調症には、幻覚や妄想、思考の混乱などの症状があります。

被害妄想が強くなると、

「盗聴されている」

「監視されている」

「頭の中を読み取られている」

といった言動が見られます。

また、母の場合は意欲の低下もありました。

  • 食欲がない
  • 人との関わりを避ける
  • 将来に希望が持てない
  • 「死にたい」と繰り返す

 

頭では「これは病気のせい」と分かっていても、

実際にその言動と向き合うのはとても難しいことでした。

「母親だから」と自分と母の間に境界線を引けず、

無理をしてケアし続けてしまった結果、

私自身も情緒不安定になってしまっていました。

母をケアする中で、心の健康の大切さを痛感していたか

らこそ、自分まで壊れてはいけないと思っていた。

でも、どうしても限界を越えてしまった。

当時は、本当に苦しかったです。

ほかにもつい冷たく接してしまったこともありました。

寄り添えなかったことも。

そのことが苦しくて、自分を責める日もたくさんありました。

これって、家族なのかな?

“家族”と聞いて、温かい団らんや安心感を思い浮かべる方も多いかもしれません。

でも、私の家庭には、そんなイメージが当てはまらない時期が多くありました。

私が家事を代わりにしようとすると怒られる。

母とは、些細なことで口論になってしまう日々。

「母がいちばん苦しんでいる」──それは分かっている。

だけど、私だって苦しかった。

感情の整理がつかず、罪悪感や悲しみ、やるせなさでいっぱいでした。

わかってもらえないつらさ

ある日、母のことで相談をしたとき、祖父にこう言われました。

「自分のことを特別だと思っちゃいけないよ」

…は? 何を言ってるの?

私は、自分のことを特別だなんて一度も思ったことはない。

その瞬間、もう相談する気持ちがなくなりました。

「やっぱり、誰にもわかってもらえないんだ」

そんな思いが心を覆って、悲しさ・寂しさ・怒り…いろんな感情が混ざり合って、自分がどんどん黒くなっていくような気がしました。

相談してよかった場所

「相談しても無駄」

「どうせわかってもらえない」

昔の私はそう思っていました。

家族に相談しても、返ってくるのはこんな言葉ばかり。

「もっと大変な人だっているよ」

「みんなつらくても生きてるの」

そのたびに心が折れました。

でも“相談する相手を変えた”ことで、少しずつ光が見えてきたのです。

退職後、失業手当の手続きで訪れたハローワークで担当の方がとても親身に話を聞いてくれました。

そして、「就労移行支援」という制度を教えてくれたのが転機でした。

そこから、少しずつ、「安心して相談できる場所」が増えていきました。

今、支えてくれている場所

現在は「就労定着支援」を利用していて、月に一度、生活や仕事、家族のことまで相談できる時間があります。

それが私にとって、大きな支えになっています。

通院している心療内科の先生も、とても信頼できる方。

「先生によって相性がある」とは思いますが、私の担当の先生は、何を話してもきちんと受け止めてくれます。

誰にも話せなかったことを、少しずつ言葉にできるようになりました。

あなたにも出会ってほしい

私は、支えてくれる人や制度に出会って、少しずつ元気になれました。

だから、昔の私のように

「つらいけど、誰にも相談できない」

「家族なのに、話が通じない」

そんな思いを抱えているあなたにも、やさしく寄り添ってくれる存在と出会ってほしい。

心からそう願っています。

相談先リンク一覧

「あの頃の私へ、今つらいあなたへ、伝えたいこ

と。」の投稿でも、悩みごと別・年齢層別・緊急度別に

相談先のリンクを紹介しました。

今回は、補足として、

「どこに相談したらいいかわからない」

そんなときに、頼れる窓口や団体をいくつか紹介します。

※すべて全国対応の窓口です。匿名・無料で利用できるところもあります。

 

こども家庭庁のこちらのサイトからも、相談先を調べることができます。

https://www.kodomo.cfa.go.jp/soudan/

 

支援制度まとめ

進学、生活、就労…状況に応じて活用できる支援制度があります。

「こんな制度があるなんて知らなかった」と後悔しないように、知っておいて損はない制度を紹介します。

 

【生活支援制度】

  • 生活福祉資金貸付制度(社会福祉協議会)

https://www.shakyo.or.jp/guide/shikin/index.html

学費・生活費の貸付など。

 

  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/law/23.html

ひとり親家庭向けの学費・就職支援制度。

都道府県別に制度があるので、

○○県 母子父子寡婦福祉資金貸付金

で検索すると詳細が調べられます。

【就労・生活支援】

  • 就労移行支援・就労定着支援(厚労省)

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40524.html

私の場合は、「適応障害」「発達障害グレーゾーン」との診断を受けて利用することができました。

障害があり、働くことに不安がある人のために、就職前後のサポートが受けられます。

 

さいごに

ひとりで抱え込まず、あなたのペースで。

今、必要な支えに出会えますように。

 

次回は、ケアする人こそ、自分のケアも忘れないでほしい。

セルフケア術についてお伝えしたいと思います。

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ABOUT US
もち元ヤングケアラー×管理栄養士
元ヤングケアラーで管理栄養士のもちです。 昔の私と同じように悩んでいる人の力になりたいと思い、ブログで私自身のヤングケアラーとしての経験を発信しています。 ヤングケアラーの存在をもっと多くの人に知ってほしいと思っています。 統合失調症の母のケアの経験と心と身体に栄養を届ける時短レシピをシェアしていきます。